いつか口癖が変わる日まで

書く事が夢でありますように

此処からは空とビルが高すぎる

出会いは運命的だった。
僕等が望んだわけじゃなかった。

まるで誰かが決めたように、
それは最初から決まっていたかのように、
あのタイミングでしか起こらなかった僕等の出会い。

僕は貴女の横顔を思い出す。
貴女の顔の奥に見える夜景も、賑わっている煌びやかな店内も、

時計の時間までも覚えているくらいに瞼に焼きついている。

だから目を閉じるとその光景ばかり見えるんだ。

僕に優しく触れる貴女の指。
綺麗な爪。
どこまでも黒い貴女の美しい髪。
前髪から垣間見えるおデコにキスしたい。

海外に行きたい貴女と海外出張が多い僕。

僕らの会話は英語の勉強方法ばかりで色気がなかった。


最初で最後の出会いがあった日の別れ際、
貴女は言った。


「また会える?」


僕との別れを少しでも後回しにしようと想う貴女の心が嬉しかった。


「いつかね。でも今宵はこれで」


「そう・・・ではこれを」


そう言って秘密の番号を僕の横で書いている貴女は泣いてしまうのを堪えているように見えた。


あれから何日経っただろうか。


僕は時折貴女にメッセージを送ったけど、
そのメッセージはどこかで蜃気楼に入り込んで彷徨ってるみたい。


僕等の出会いは儚い夢のような、
一瞬の幻だったのかな。


また会いたいという想いは胸にしまい込んで僕は潤んだ瞳から涙が落ちないようにビル群の麓から空を見上げて、想像の貴女と会話した。


「高すぎるよ」


「空が?」貴女は言う。


「ううん」


「それじゃあ、ビルが?」


「あるいはね」


貴女はきっと微笑んだ。


さようなら。


高級キャバ嬢のまほちゃん。

 

Your shops bill is too expensive.