泣きながら生まれたり走り去る車についていけなかった音をさえぎってはじまる音楽だったり文章のはじまりだったり もっと誰にも知られないとこからはじまりたい雨粒の一滴目が落ちていく音はどれかなんて誰も知らない はじまりの音が聞こえないように誰かに…
毎朝同じように鏡に向かう 似合う髪型を探すことは諦めた いつもギクシャクしている 早すぎたり遅すぎたり 言わなかったり言い過ぎたり 思い出が隙間を縫いながら通り過ぎる 歪な毎日もまわり続ければ 形も整ってくる お決まりの挨拶は 今日には似合わない
ナチュラルって言うときはもうナチュラルじゃないよねってあなたが言うからそれならうんとナチュラルになろうと決めた、その途端に。 どうかしてるんじゃないのなんて口に出して言うもんじゃない。が閉じた口のなかを駆け巡る。言葉と何かが散り散りになって…
繰り返される明日の前夜目覚めて今日だったことに気づくなにも変わっていかなくて安心する 明日は変えよう近づいて手をのばし頬に触れようあなたは笑うだろう、私も 真夜中に眠りに落ちていきながらぼんやりした光に起こされる つけっぱなしのテレビでは誰か…
書き残しておきたい、と思える感情がずっと続いているのだけどそれはどのようにして書いたらいいのかイマイチ分からないのだ。 その感情が自分の内側から香りたって消えてなくならないように膜になってくれるような音楽をスマホの中から探してもみたけれど、…
本当に大事なものは目に見えない、と星の王子様が言ったことを思いだした。そうかな、本当にそうなのかな。いや、そうだよな。そうして私は眼鏡をベッドの横に置いた。おかげで視力の悪い私に世界はぼんやりとしか映ってくれなくなった。でもたいした問題で…
嘘つきだなぁ。嘘ってなに?じゃあ意味はあるの?意味なんかないよ、意味は嘘でつくるんだ。じゃあやっぱり嘘じゃないか。嘘も本当もないよ、どこにも。 今日も夜の九時近くに仕事が終わった。帰っても子供は寝ている。すぐに家に帰る必要もない。映画でも観…
土曜日の太陽は映写機のように カタカタカタカタカタカタと回り続け 見えないところで振動音が鳴り続ける。 そして私は影のない街を見た。そこは私のためにだけ用意された白地のキャンバスだった。私は影をつくりたいと思った。私のつくる影の色は地味だろう…
君を面影にしてしまうのは僕のせいなんだろうか 忘れたころに姿をみせられると神様はいるんだなんて思ってしまう 本当は近くにいたけどきっと気づかなかったんだたまたまタイミング悪くまばたきをしていただけなんだ 十年後のために星座をつくっているたしか…
本屋が好きって前に言ってたけど、たぶんそれは間違いで本屋に含まれている何らかの成分が好きなんだなって気づいてしまった濃度が濃い夜に、今までの好きの味を舐めてみる。 下手やわ、ほんまに下手やわ。って松っちゃんが昔テレビで言ってたのは今の私に向…
寄せては返す波だと思う。私たちは一歩一歩進んだりはしないし後退もしない。三歩進んで二歩下がるなんてありえないし飛ぶのなんて夢のまた夢。 毎日は特別で唯一だなんて伝言ゲームの間違いと同じ。よく似た日が繰り返されているのは正しいと誰も言わないけ…
寝起きに真似たいと思う文章を追いかけて朝の硬い冷気のように整然と並ぶ漢字を一つ一つ読みしめていくと、霜柱を踏む、あの感触と同じ手応えが体の芯部に湧く。 書けるかなそういうの私にも。ちがうよ。もともと並んでるんだ。遠くから探しちゃだめさ。汲み…
ミライの私と私で今日はあそんだ。ミライの私は私よりミライにいるから私はミライの私を真似ているようだしミライの私にうそはつけない。ミライの私が私をうらやましそうに見るのには理由があるが私にその理由を教えることはない。私がそれはずるいと思って…
ホテルの窓から夕景を眺めている。すごく綺麗だと彼女は思って写真を撮る。 インスタ映えする写真にはなった。でもそこから彼女はじっと画面を見つめ、文章を考える。 頭の中に色んな言葉が浮かんでくるけど、どれも決め手に欠けると彼女は思う。 ため息をつ…
暗闇で発光するスイッチの光の慎ましい主張と誘導。あなたからの言葉のようだね。その光には無数の意味の粒子があってもしかしたら僕らモールス信号の瞬きのような会話をしてるんじゃないかしら。 あなたに電話をしてみて話す。最近どう?早く休みが終わって…
この間の夜は眠れなかった。 ひとつの言葉に色んな意味をつけてしまったせいで、たくさんの「そういうことかもしれない」で私の部屋はいっぱいになった。 ある「そういうことかもしれない」は部屋の天井をぐるぐると回り、ある「そういうことかもしれない」…
あなたを消したあの瞬間にすこしの後悔はないけど、泣いてたように見えたのはあの時の想い違いだったのかな。 あなたを消した瞬間の後はぜんぶ過去。それなのにあなたは「今」にも「過去」から笑ってみせる。それは触れることのない手をあたしの頭に置く仕草…
浅瀬だった。遠くに見える浮きが空と海の境界を行き来していた。近づいてきたり近づいていると勘違いしていた。景色は変わり身体はゆらぎ足の裏にも進んだという感触がある。錯覚だった。足先から遠ざかる砂二度と戻らない波抱きよせる波間の柔肌あらゆるが…
明日に追い抜かされた今日が終わって、振り返って、時間の厚さに栞が差し込んであって、その「時」は開くまでもなく、諳んじてみせれるけど、目印を持たない、たしかに書かれている無数の文字は秒単位のもので、繰り返し繰り返しが繰り返され、栞は目印のな…
何処かにありそうな空間で僕は会ったこともない昔からよく知っているたくさんの人達が現れては消えていく心地がする。 一人の女性は悲しそうな表情で僕を見つめているが、毛布に包まれているかのように見えていたのは後ろの男性のせいだった。 うわぁぁ。も…
わたしは家にかえるとちゅうだった。 左手に傷ができていて 本当は「いたい」って言えば よかったんだということはわかってた。 そしたら、ともだちが心配してくれたかもしれないしママもどうしたのって聞いてくれたかもしれない。 でも傷をずっと見てたら、…
私たちはとても複雑だから 定まったときに定まった感情が 都合よく姿を現したりしない。 どれもこれも内気なのが多くて 本当にいてほしかったり、 誰かに伝えるのに必要だったり 涙を流すのにそばにいてほしい時に いなかったりする。 たとえば「毎日何やっ…
どうして私宛だなんて思わせたいの? いもしない自分の仮面に告白させて、 誤魔化す言葉の嘘が透き通ってる。 瞬いて見えるのは、真っ赤な嘘と白々しい真実を行き来する何色でもないあなたの臆病な残存だけ。 明滅を繰り返すビルの赤色灯にでもなったつもり…
蛍光灯の光は朝の陽の光とそっくりで眠りかけている部屋には眩しすぎたみたいで起こしかけてしまった。 そっと白熱電球の光に変えて今日の思い出を部屋の色んなものの間に映して眺める。 見てたつもりで何も見てなかった。 朝から繰り返されるているのは言葉…
寝静まった部屋を起こさないように火照る画面に指先を踊らせて舞いあがる気持ちを言葉に押し込む 気持ちが急けば急くほど想いは躓いて転びかける 残りものの中秋の名月からこれ見よがしに忍び込む青白い衣を虚飾の上から身に纏って好き勝手に想いを踊らせれ…
イヤホンから聞こえるメロディを聞きながら、今日も無意識にブログを開いているんだろう? ブログにはただ文字に目を通しているだけで、君は小さくため息をついて文字をふわりと消していった。 此処にいる意味を繰り返し自分に聞き続けたのかい? わかるさ。…
今まで悪かった。 よそ見ばかりしちゃったね。 僕にはあなたしかいないのに。 もうこれからはあなたのいつもの突拍子もない思いつきにも付き合うよ。 いつだってあなたの味方になる。 僕にとってはあなたはいつだって正しかったに違いない。 だからもう迷っ…
読んでくれてありがたいんだけど、この文字が書かれているところはブログじゃないぜ。 かといってこの余白の部分もブログじゃないんだぜ。 今回のブログはずっと前から完成していて、前回と今回の間の空白の部分にブログがあるんだぜ。 そうなんだ、この空白…
夜の街を歩く去年の貴方とすれ違う時間さえなかったらぶつかるはずだった 見上げると貴方を乗せた飛行機月から見れば私達は一瞬重なった距離って何だろう私達が最も接近した日 遠くの街を歩く貴方時間さえ重ならない距離でもココロから見れば私達は重なり合…
おやすみって言うから、 僕がこれから眠りに落ちていくことを知っておいてほしい。一人で寝続けてしまわないように。君に起こしてもらえるように。 おやすみって言ったら、 それで君が少しでも眠りに誘われてほしい。まるで僕が寝かしつけたみたいに。僕が君…