面影が瞬く。
あなたを消したあの瞬間に
すこしの後悔はないけど、
泣いてたように見えたのは
あの時の想い違いだったのかな。
あなたを消した瞬間の後はぜんぶ過去。
それなのにあなたは「今」にも「過去」
から笑ってみせる。それは触れることのない手をあたしの頭に置く仕草と同じ。
もう現実では叶わない。
想いのなかではあたしがあたしの目を隠す。
夢ほど夢じゃない言葉をあなたと繋げたら
あたしはあなたに名前をつけてあげられる。
もっとあなたの名前を呼べばよかった。
その平仮名を口にすれば、やすらぎの匂いが私のすべてを満たすようにしとけばよかった。
あなたとの日々は夜の星の光と同じ。
輝いていた光はあたしに届かず、あたしは瞬きだけを繰り返して空を見上げる。
見えてるのは、目に届いてくるのは、
しょせんは光の面影。
目に届く面影が霞むのは、
涙を含んで届くから。