あとまわし

書く事が夢でありますように

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

影のない街

土曜日の太陽は映写機のように カタカタカタカタカタカタと回り続け 見えないところで振動音が鳴り続ける。 そして私は影のない街を見た。そこは私のためにだけ用意された白地のキャンバスだった。私は影をつくりたいと思った。私のつくる影の色は地味だろう…

面影の君

君を面影にしてしまうのは僕のせいなんだろうか 忘れたころに姿をみせられると神様はいるんだなんて思ってしまう 本当は近くにいたけどきっと気づかなかったんだたまたまタイミング悪くまばたきをしていただけなんだ 十年後のために星座をつくっているたしか…

空白

本屋が好きって前に言ってたけど、たぶんそれは間違いで本屋に含まれている何らかの成分が好きなんだなって気づいてしまった濃度が濃い夜に、今までの好きの味を舐めてみる。 下手やわ、ほんまに下手やわ。って松っちゃんが昔テレビで言ってたのは今の私に向…

寄せては返す日々

寄せては返す波だと思う。私たちは一歩一歩進んだりはしないし後退もしない。三歩進んで二歩下がるなんてありえないし飛ぶのなんて夢のまた夢。 毎日は特別で唯一だなんて伝言ゲームの間違いと同じ。よく似た日が繰り返されているのは正しいと誰も言わないけ…

霜柱が建つ音

寝起きに真似たいと思う文章を追いかけて朝の硬い冷気のように整然と並ぶ漢字を一つ一つ読みしめていくと、霜柱を踏む、あの感触と同じ手応えが体の芯部に湧く。 書けるかなそういうの私にも。ちがうよ。もともと並んでるんだ。遠くから探しちゃだめさ。汲み…

手放したものは追いつかない。

ミライの私と私で今日はあそんだ。ミライの私は私よりミライにいるから私はミライの私を真似ているようだしミライの私にうそはつけない。ミライの私が私をうらやましそうに見るのには理由があるが私にその理由を教えることはない。私がそれはずるいと思って…

青仄かな日々

ホテルの窓から夕景を眺めている。すごく綺麗だと彼女は思って写真を撮る。 インスタ映えする写真にはなった。でもそこから彼女はじっと画面を見つめ、文章を考える。 頭の中に色んな言葉が浮かんでくるけど、どれも決め手に欠けると彼女は思う。 ため息をつ…

あさっての挨拶。

暗闇で発光するスイッチの光の慎ましい主張と誘導。あなたからの言葉のようだね。その光には無数の意味の粒子があってもしかしたら僕らモールス信号の瞬きのような会話をしてるんじゃないかしら。 あなたに電話をしてみて話す。最近どう?早く休みが終わって…

そういうことかもしれない。

この間の夜は眠れなかった。 ひとつの言葉に色んな意味をつけてしまったせいで、たくさんの「そういうことかもしれない」で私の部屋はいっぱいになった。 ある「そういうことかもしれない」は部屋の天井をぐるぐると回り、ある「そういうことかもしれない」…

面影が瞬く。

あなたを消したあの瞬間にすこしの後悔はないけど、泣いてたように見えたのはあの時の想い違いだったのかな。 あなたを消した瞬間の後はぜんぶ過去。それなのにあなたは「今」にも「過去」から笑ってみせる。それは触れることのない手をあたしの頭に置く仕草…