あとまわし

書く事が夢でありますように

そういうことかもしれない。

この間の夜は眠れなかった。


ひとつの言葉に色んな意味をつけてしまったせいで、たくさんの「そういうことかもしれない」で私の部屋はいっぱいになった。


ある「そういうことかもしれない」は部屋の天井をぐるぐると回り、ある「そういうことかもしれない」は猛スピードで壁にぶつかっては方向を変え続けた。


部屋いっぱいになってしまった「そういうことかもしれない」は「そういうことかもしれない」同士が衝突したり正面衝突の結果、合体してしまったりしたものもいた。私はそのたびに大きな音がでるのではないかとヒヤヒヤしていた。


なかには部屋の暗闇の色がついてしまって、

くすんでいく「そういうことかもしれない」もたくさんいた。そういうヤツは周りのヤツの色もどんどん変えていくのでなるべく動かさないようにするのが大変だった。


あまりにたくさんの「そういうことかもしれない」が部屋に充満したせいで私は息が苦しくなってきた気がして重い気持ちで雨戸を開け、そして窓を開けた。


そしたらいつのまにか夜が明けていて空は白んでいて、いつもより重い目で空を見上げた時、たくさんの「そういうことかもしれない」が部屋から出ていってもう二度と戻ってこなかった。