「求める言葉」
「求める言葉」に久しぶりに会いに行った。
たぶん1年ぶりくらいだ。
久しぶりだね。どうしてた?
「なにも変わらないよ。私はあのときのまま。ただあなたが私を忘れたというだけ」と「求める言葉」は僕に言った。
ごめん。忘れるつもりはなかったんだ。でも君が僕に届いたときの幸福感は忘れてないよ。
「そうなのね。きっとそのことの方が大事だと私も思う。私はただの言葉にすぎないわけだし。それに一番大事なことは私をあなたに届けたのが誰かということだよ」
うん、そうだね。僕は君を忘れて正しかったと思う。そしていつか君はカタチを変えて僕に届けられる。それが誰から届くのかはわからないけれど、それまで待ってるよ。
「ねえ、私、また本当に来ていいの?このままの私でいいの?つまり、私は言葉でしかないのよ?どこにもいないのよ?それでいいの?」、「求める言葉」は僕に聞いた。
実は、本音を言うと、音と一緒に来てほしい。言葉としてだけじゃなくて発話として届いてほしい。私だけに向けられた発話として次は会いたいよ。
「そうなるといいね。私もそう思う」
「求める言葉」は僕に言った。
「......